ロボットと暮らす
賢く、頼れる存在に

2015年01月29日

 高齢者の生活を支える新たな手段として「ロボット」が大きな期待を集めている。移動を助けるもの、身体機能を維持・向上させるもの、認知症の症状を緩和させるものなど、現在、多くの研究者が開発に励み、病院や高齢者施設での利用も進んでいる。ロボットと生活する日も遠くない。



 脳こうそくを発症し、身体に麻痺が残る男性は車いすの状態で高齢者住宅に入居した。そこでロボットを用いてリハビリ専門職との訓練を続けた男性は、自力で歩行できるまでに改善。長年職人として働いてきた男性は、現在、職場だった工場まで1人で歩いていくことを日課にしている。ヘルパーが玄関先まで見送るが、そこからはしっかりとした足取りで進んでいく。
 要介護者を支えるためのロボット「介護ロボット」が利用できる高齢者住宅として注目されているのが、「リハビリふくや高津館」(川崎市)。歩行をサポートするロボットスーツ「HAL福祉用」や自分の姿勢を確認しながらリハビリできる「デジタルミラー」などを導入し、入居者であればいつでも利用できるようにしている。
 「歩けるようになった」「歩いてもつらくなくなった」ロボットでリハビリを行った入居者の身体機能がみるみる改善していく。歩行訓練を重視したプログラムを実施し、車いすを利用していた入居者がつえで歩けるようになるなど何人も効果が表れているという。
 内山光司館長は「リハビリ意欲の高い高齢者が入居している。病院・施設ではなく、在宅で暮らしながら専門的なリハビリが続けられる環境が必要だ」と考えている。入居者の多くは「歩く」ことが最終目標ではなく、「自宅に戻ること」を目標にしているという。
 いま、介護を支えるロボットを高齢者施設や病院に導入したり自家用に購入したりする例が増えている。
 介護する職員の負担を軽減させるためのロボットスーツ「マッスルスーツ」を導入したのは有料老人ホームを運営するゆうあいホールディングス(横浜市)。運営する6施設で導入を開始している。介護が必要な人を、ベッドから車いすに移動させる際などに、介護職員がスーツを身に着けることで力をアシストし、大きな負担なく移動させられる仕組みだ。「女性職員でも40キログラム程度の物を持ち上げられる」(成田克弘社長)という。

国内外で高評価「癒し」効果ロボ
 認知症の症状を緩和する役割として期待されているのが、アザラシ型のセラピー・ロボット「パロ」。現在までに国内で2100台以上、北欧を中心とした海外では1100台が販売され、国内外から人気を集めている。デンマークでは国の予算で購入し、介護施設や在宅での導入が進むなど高い評価を受けている。
 パロの販売代理店大手の大和ハウス工業(大阪市)によると販売先の大半は介護施設。全国のデイサービスや認知症の人が暮らすグループホーム、短期間の入所施設ショートステイなど幅広い施設に導入が進んでいる。
 パロは人工知能によって、呼びかけを理解し反応するだけでなく、撫でる、抱くといった行為を理解し、表情や声やしぐさでうれしさや甘えを表現する。「認知症で意思の疎通が難しくなり、表情の変化が無くなった高齢者が、パロとのふれあいで笑顔や、かわいいと思う気持ちを取り戻す事例が数多く報告されている」(大和ハウス工業ロボット事業推進室の山本泰弘課長)という。

株式会社高齢者住宅新聞社
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