お金の整理 元気なうちに

2015年08月12日

「病気や介護のためにお金を備えておきたい」――。そんな思いで、若いころから貯蓄してきたシニアは多い。実際に内閣府が調査した高齢者の貯蓄目的では、60%以上の人が「病気・介護の備え」と答えている(2011年調査)。「お金の備え」も大切だが、自分や家族に「万が一」があった時、備えていたお金を誰に相続するのか。また自分に判断能力が無くなった時、誰が金銭管理をしてくれるのか。終活に向けたお金の悩みは誰もが持つもの。「お金」でもめないために元気なうちから準備しておきたい対策を取り上げる。

 公団住宅で暮らす80代女性のAさん。子供がなく長年夫婦でつつましく暮らしていた。お金はすべて夫の通帳にまとめて管理し、なにも不便なく暮らしていた。

 ところが、ある日突然夫が他界。女性のもとに相続問題が一気に伸し掛かってきた。まず直面したのは、夫名義の通帳からお金が引き出せないこと。預貯金の相続手続きをしなければ引き出せず、生活費はすべて夫の通帳からまかなっていたため生活が回らない。

 通常金融機関では名義人が他界した場合、引き出しや預け入れなどのサービスがストップする。特にこの夫婦の場合は子供がいないため、法律で定められている相続人(法定相続人)は妻のAさんと、夫の兄弟4人、さらにそのうちの甥1人も対象だった。

 手続きをするには夫の戸籍謄本や、相続人全員の戸籍謄本、印鑑証明書などが必要で、連絡や取り寄せに膨大な手間がかかる。80代のAさんにとっては大きな負担で誰にも相談できず、夫が他界して3ヵ月後にようやく姪を通じて専門家の支援を受け解決できた。

 高齢者の法務手続を支援する、一般社団法人シニア法務サポート(東京都世田谷区)代表で行政書士の中野幸江さんは、このような事例は珍しいことではないという。「相続手続きの中で、とにかく亡くなった人(被相続人)と相続人の戸籍収集が大変。相続人への連絡や戸籍の取り寄せなど、この事例では解決まで専門家でも1ヵ月くらいはかかります」という。

株式会社高齢者住宅新聞社
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