地域とのつながり保つ
孤立、2人で防ぐ

2015年08月21日

 老老介護生活を送るうえで、「地域とのつながりを保つ」ことが最も大切だというのは、東京都大田区で地域の高齢者を見守る活動「みま~も」の中心メンバーである、澤登久雄さん。大田区地域包括支援センター入新井のセンター長であり、ケアマネジャーだ。全国から注目を集めるこの活動から、老老介護で気を付けなければならないポイントや、より良い老老介護のために今からできることを聞いた。


ーー老老介護で特に気を付けなければならないことはなんですか。
澤登 介護を受ける側、介護をする側の両方が地域から孤立してしまうことです。例えば、夫が要介護になって妻が介護するケースでは、妻は住み慣れた場所で地域とのつながりがあったけれども、夫の介護が中心の生活になって、妻の地域とのつながりがプツンと切れてしまう例は珍しいことではありません。介護が長期になればなるほど、孤立は深刻になります。2人がセットで地域から孤立してしまうことは防がなければなりません。
どのようにして孤立を防ぐべきですか。
澤登 地域で孤立してしまった老老介護の世帯が地域にまた戻ってくるためには、周りの地域住民の声掛けが最も有効です。以前、よく集まっていたカフェやサロンにまた顔を出せるよう、周りの人が「あなたのことを待っているよ」と思いを伝えることで、自由に外出できなくなった要介護者や介護者も安心して、もとのコミュニティに入ることができるのです。
 週1回でも、無理のない頻度で構いません。外部と交流を持つことで、孤立を防ぐことができます。
ーー「みま~も」は様々な仕掛けで、高齢者が地域とつながることを支援しています。
澤登 東京都大田区では、地域包括支援センターと介護事業者、医療機関、民間企業がコラボレーションして、地域の高齢者を見守る活動「みま~も」に力を入れています。元気なうちから介護や医療の専門職、民間サービスとつながっておくことで、「介護が必要になった」「認知症になった」といういざという時に、多くの人がサポートしてくれる体制を目指しています。
 具体的には、元気な高齢者に個人番号を付けたキーホルダーを区から配布し、徘徊や外出先で行方が分からなくなった時に、消防や警察がこの番号をもとに緊急連絡や身元を特定できる支援を行っています。大田区では65歳以上の2万5000人がこのキーホルダーに登録しています。これを持ち歩くことが安心感につながり、外出を楽しむことができます。
 そのほか、毎月高齢者の生活に役立つセミナーを開催しているほか、駅前の商店街に誰でも立ち寄れるサロンをオープンし、住民による趣味講座やセミナー、カフェを行っています。
ーー地域とのつながりが重要。
澤登 「みま~も」の特徴は、地域住民が主体的にセミナーや地域活動に参加し、それを行政や介護・医療の専門職、民間企業がバックアップしていることです。
 住民自らが学び、情報を得て、地域との関係を強めていく。いざ自分や家族に介護が必要になったり、認知症になったりしても、得た情報や地域とのつながりの中で多方面からサポートを受けながら暮らし続けられるのです。高齢者が地域から孤立しないためには、居場所がいつでもあることと、周りが声掛けする地域の力が必要です。

株式会社高齢者住宅新聞社
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