上向き、つま先上げを意識
正しい歩き方で転倒予防

2015年09月24日

専門家が教える

正しいウォーキング法


 「歩く」ことを趣味や日課にしている人は多いが、一方で正しい歩き方を知っている人は少ない。正しい歩き方を心得ていない自己流のウォーキングは、身体に痛みが出るなど悪影響になりかねない。歩くうえで大切なのは、「歩き方」ではなく「正しい重心の置き方」だと話すのは、20年ほど前から足を研究し、オーダーメイドの中敷きを開発するフィートインデザイン(東京都中央区)の久保田敦社長。”足の専門家”だから知る、ウォーキング時のポイントを尋ねた。


ーー高齢者が歩く際、気を付けなければいけないことは何でしょうか。
久保田 最も注意すべきことは、転倒をしないことです。高齢になると骨格がゆがんで前かがみになりやすく、つま先が上がらず、ちょっとした段差にもつまずきやすくなります。また筋力が低下したり、足の動く範囲が狭くなったりするために、ふらつきやすくなります。高齢者は一度転倒すると、寝たきりになるリスクが高まります。歩く際は、「上半身を起こして、つま先を上げて」歩きましょう(写真(1))。
ーー正しい歩き方を教えてください。
久保田 まずは足を前に出す際、向かう方向に線を引くようにして人指し指が6~8度の角度を向いていること(写真(2))。次にかかとの外側から着地し、外側から内側へ足裏を転がすように連続して地面を踏み、蹴り上げます。かかとからつま先にパタンと点で着地するのは避けましょう。
ーーウォーキングなどの前に必要な準備は。
久保田 自分に合った靴やインソール(中敷き)といった足の環境作りは大前提です。そのうえで、アキレス腱のストレッチは必ず行いましょう(写真(3))。壁に手を付けて片足を前に出します。後ろ足をつま先からかかとまで地面についたまま、前足の膝を落として後ろ足のアキレス腱を伸ばします。ここで後ろ足のかかとをしっかり地面につけておくことがポイント。かかとを離してしまうとアキレス腱が十分に伸びません。このストレッチはウォーキング前だけでなく、毎日の朝晩のストレッチとしても行ってほしいと思います。


■重心を正しく置く■


ーーより長く自分の足で歩くためにできることは。
久保田 実は歩き方よりも重要なのが「正しい重心の置き方」です。人はまっすぐ立って、歩いているつもりでも、両足のどちらかに体重が偏っていたり、前後左右に傾いていたりします。また骨格がずれて足の内側(土踏まず)に重心がかかっている人が非常に多く、ほとんどの人が正しいバランスで立ったり、歩いたりできていないのが現状です。重心を正しくして歩かないと、足裏や膝や腰に痛みが出て、さらに肩こりを起こし、ウォーキング自体が身体に悪影響を及ぼすことにも繋がってしまうのです。
 足は身体全体を支えるものです。その足にかかる圧力や体重のバランスが悪かったり、不安定だったりすれば、正しい歩行はできません。しかし、自分に合った中敷きを使えば、足を正しい位置に補正することができるのです。歩行のふらつきがなくなり、足の踏ん張りもきくようになるので、安定感が高まります。また疲れにくくもなります。杖を使って歩いていた人が、杖なしで歩けるようになったり、散歩の不安を解消できたりする例が増えています。特に50~70代のシニアからの注目度が高まっています。
 歩き方だけに目を向けるのではなく、正しく歩くための足の環境作りも大切にしてほしいと思います。

株式会社高齢者住宅新聞社
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