老い支度「引き継ぎ」重要
品物の生き方・人間関係など

2015年09月24日

 チャプター・ツー(東京都江東区)は、看取りサポート、後見人制度の推進、お別れ会のプロデュースなどを通して、「70歳になったら始める老い支度」を提案。三村麻子社長に高齢者の老い支度について聞いた。


――高齢者が自身の老い支度として行った方が良いことは。
三村 1番重要なことは、「引き継ぐこと」です。人は死んだら終わりではなく、死んだ時の人間関係は、子供や孫がいる人は、その人達が亡くなるまで長期間続くからです。引き継ぐ対象は、品物・生き方・人間関係と、大きく3種類に分けられます。
――品物の引き継ぎ方は。
三村 長い人生を過ごしていく中で、愛着や想い、ストーリーがある品物が一家に1つは出てきます。そうした愛着や想いの引き継ぎはもちろんのこと、その品物をどうして欲しいのかも含めて引き継ぎをすべきです。
 そのためには、遺された人達に分かりやすく伝えることが重要です。そこで私は「引き継ぎノート」を作ってもらい、そこに品物の情報を記入するとともに、品物の写真を貼ることを勧めています。
 通常、子供たちは親の家にある多くの品物をどうすれば良いのか分かりません。親の方から整理の要請や、処分を頼まれた際は困りませんが、本人が不要と伝えないと処分の判断に困ります。また、品物を処分しないことが後々、親の汚点になることがあります。


「生前に死後プロデュースを」


――汚点とはどういうことか。

三村 実際にあったことですが、父親が亡くなった後、借用書関係の書類が出てきて、その書類には金を貸して、さらに取り立てまで行っていた経緯が書いてありました。それを見た家族は愕然とします。
 このようなことは、子供にとっては良いことではありません。ですので、「引き継ぐこと」と「引き継ぎたくないこと」の2種類に分け、後者については、自分の代で全部処分した方が良いです。

――人間関係の引き継ぎ方について。
三村 子供がいない夫婦なのですが、ご主人には年齢が離れた妹達がいました。この様な場合、奥さんが遺されると妹達との関係で非常に苦労するので、生前に遺言書を作成する必要があります。しかし、ご主人は、「妹達は資産の相続で争うことなどない」と考え、遺言状は作成しませんでした。
 ところが、ご主人が亡くなると、妹達は全資産の開示を要求するなど、遺された奥さんとの関係は最悪になりました。これは、生前に自分の死後のことを適切に考えてプロデュースしなかったためです。


子供ために美しい最期を


――死後をプロデュースした例は。
三村 多くの宝石を持っていた高齢女性が私のところに最後の相談にきた例があります。宝石は土地と一緒で正確に分けることはできないので、宝石ごとにあげる孫を決めて、自作のテディベアの腹の中に宝石と、なぜそれを渡すのかというメッセージを入れ、葬儀の時に1人ずつ渡すという演出をしました。
 これには家族はものすごく感激しました。遺産相続の争いも全く起きませんでした。
 こういう引き継ぎ方は、美しい老い支度だと思います。美しい老い支度は、遺された人達にとって、自分達が死ぬ時の模範になるのです。生き方や人間関係の引き継ぎも行ってこそ、子供や孫のその後の人生も豊かになります。

株式会社高齢者住宅新聞社
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