自宅にロボットがやってきた

2016年02月20日

 子供や家族、地域住民など、高齢者の介護を担う人手不足が深刻な社会問題になっている。国はより少ない担い手で高齢者を支えようと、ロボット活用に積極的だ。また、介護の現場でも人の代替となるため期待が高まっている。実際に高齢者の生活において、ロボット活用は見込まれるのだろうか。ロボットの活用によってその人の暮らしが変わった事例を紹介する。


〇移乗介助


 身長180センチ、体重85キロある鈴木さん(65歳)は、ベッドから車椅子に自力で移り乗ることができない。そのため、ヘルパーの女性が毎朝手助けをしてくれている。ある日、女性が怪訝な顔をして自宅にやって来た。

 「どうしたの。具合でも悪いの?」と問いかけると、「実は最近腰痛に悩まされていて…」と言う。体が大きく体重もある鈴木さんを毎日中腰になり抱きかかえながら介助するため、腰痛を患ってしまったというわけだ。

 「これでは介助を頼みにくいなぁ。ほかのヘルパーさんに頼もうにも女性が多いし…」と気遣いながらも困る鈴木さん。一方で、女性も「鈴木さんの介助は続けたいけど、腰痛はあるしどうしよう」と八方ふさがりだ。

 そこで活躍するのが、「移乗介助ロボット」だ。「移乗介助ロボット」は、介助者の負担を軽減してくれる装着式の装置。これを装着すれば、普段より少ない力で移乗を手助けでき、女性でも簡単に持ち上げることができる。

 また、ベッドの半分がそのまま車椅子になったり、人を持ち上げる際に介助者の力の一部分または全てを補助したりするベッドもある。これらも「移乗介助ロボット」の仲間だ。

 ロボットを活用した結果、鈴木さんは「安心して介助を頼めることができる」とホッと一安心。女性も「腰痛の心配がなくなって良かった」と胸をなでおろした。


〇移動支援


 買い物が大好きな佐藤さん(72歳)は、最近近くのスーパーに行くのも億劫になってきた。というのも、自宅のある地域は坂が多く、重い荷物を手に持ちながら坂を上ることが困難になってきたからだ。段々と閉じこもりがちになり、外出がめっきり減ってしまった。

 「私はこのまま一生外出できないままなのかしら…何か便利なものはないのかしら…」

 「移動支援ロボット」はそんな佐藤さんを手助けし、大好きな買い物に再び行けるよう支えてくれる。これは、利用者が一人で使用できる手押し型の機器で、ロボットに搭載されているモーターにより上り坂では推進し、下り坂ではブレーキをかける駆動力が働く。そのため、足腰の弱った高齢者でも荷物を上に載せて安全に運搬できるようになる。

 「移動支援ロボット」を使用し始めてから、佐藤さんは再び大好きな買い物に出かけられるようになった。「手押し車は持っていたけど、これは電動だからスイスイ動いてとっても便利。ようやく外出ができるわ」と嬉しそうな佐藤さん。

 屋内用の場合は、ベッドからトイレまでなど、室内での移動を補助する。


〇排泄支援


 自力でトイレに行くことが難しい松田さん(85歳)は、最近自室に備え付けられる簡易便座を購入した。この簡易便座には排泄物のにおいが室内に広がらないように排泄物を室外へ流したり、容器や袋を密閉して隔離したりするロボット機能がついている。これらは、「排泄支援ロボット」と呼ばれており、これにより松田さんはわざわざ部屋を出なくても、室内で用を足すことができる。「これで家族に頼んでトイレまで連れて行ってもらわなくてすむから良かった」と安堵した。

 設置する位置も調整可能で、松田さんはベッドのすぐわきに簡易便座を設置してもらった。

 「におわないの?」と不思議がる家族に、「排泄物は室外へ流しているからにおわないんだ」と松田さん。


〇認知症の人の見守り


 小瀧(45歳)さんは遠方に住む両親を心配している。認知症の傾向が現れ始めているからだ。「仕事があるから引っ越せないし、かといって両親は地元を離れたくないと言っているし」

 そこで、小瀧さんは「認知症見守り支援ロボット」を両親の部屋や浴室、キッチンなどに設置した。このロボットにはセンサーがついており、もし転倒した場合でもセンサーが感知し、小瀧さんの携帯に通報される。

 また、両親の生活や体調に変化が現れれば、小瀧さんに情報が共有される機能もある。「これで遠方の両親を見守ることができる。離れていても安心だ」

株式会社高齢者住宅新聞社
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