規則正しく安眠を~昼寝で不眠解消~

2016年06月24日

 「なかなか眠れない」「寝ていても途中で目が覚めてしまう」このように睡眠に問題を抱えるシニアは多い。なぜ年を重ねると早寝早起きになってしまうのか?ちょっとした物音で目が覚めてしまうのか?これは、加齢、環境、睡眠障害により、眠りの質を低下させていることが原因だ。睡眠を安定させ、睡眠の質を良くする対策を紹介したい。

 

 まず、睡眠とは身体を休める状態だけでなく、脳を休める状態のことを指す。75歳を越えると長期間不眠に悩まされる人が約2割にのぼるほど、シニアにとって睡眠は大きな悩みの種にもなりうる。「眠りが浅い」「夜ちゃんと寝ていても日中眠たくなる」といった原因として考えられるのは、(1)加齢、(2)睡眠障害、(3)環境、がある。

 シニアの睡眠の特徴として、早寝・早起きがある。これは、覚醒を維持する機能が加齢により低下し、夜の早い時間に眠くなってしまうことが一つの原因としてあげられる。昼寝をする習慣を持たないシニアは、昼寝をする習慣をもつシニアと比較して就寝時刻が早く、また、夕方から夜にかけて居眠りやうたた寝が多くなってしまうという。長時間目覚め続けることが難しくなるためだ。
 睡眠研究の第一人者と言われている、一般社団法人日本睡眠改善協議会の白川修一郎常務理事は「シニアの適正な睡眠時間は、実は若い人と変わらず、7~8時間と考えられています」と話す。朝早く目が覚めてしまうシニアのなかには、午後7時に就寝する人もいるという。
 「そうなれば、必然的に午前2時~3時頃に目が覚めてしまいます。というのも、人間は質の良い睡眠をとっていれば7~8時間で目が覚めてしまうからです」この場合、睡眠時間が極度に前倒しになってしまい、一般的な日常生活時間に適応できなくなってしまう。正午~午後3時までの間に30分程度の昼寝をとる習慣をつけることで改善できるそうだ。
 また、不眠が3ヵ月以上続いた場合には病気になってしまうため、健全な睡眠状態に戻ることが極めて難しくなるという。そのため、不眠状態は3ヵ月以内に治すことが必要と言われている。


○正しい眠りで生活習慣病防止も


 このように睡眠に配慮する理由として、睡眠は身体と心に多大な影響を及ぼすことがあげられる。1995年の世界保健機関(WHO)の国際共同研究によると、不眠患者の半数が1年以内に睡眠障害以外の治療にかかっているという。
 「長期の不眠や睡眠時無呼吸症候群などの睡眠時の呼吸障害は、高血圧や突然死の一因となる虚血性心疾患、脳血管性認知症の重大なリスク要因となります」と白川常務理事。
 国内の4000名以上を4年間追跡した調査においても、入眠障害のある人は1・96倍、睡眠維持障害のある人は1・88倍の高さで高血圧を発症しやすいという報告もあるとした。日本人の糖尿病患者の大多数を占めるⅡ型糖尿病の発症リスクも、入眠障害のある人は2・98倍、睡眠維持障害のある人は2・23倍高い発症率をもっているという調査報告もあるそうだ。
 近年注目を浴びているメタボリックシンドロームも睡眠不足と大いに関係するという。睡眠不足により食欲が旺盛になり、過剰にカロリーを摂取してしまう。睡眠不足の時の食欲は夜間ほど大きくなり、更には食べ物を脂肪として蓄積しやすくなってしまう。
 また、睡眠不足とうつ・自殺との関係性も大いにあるという。ある調査では、6時間以下の睡眠時間の人は抑うつ傾向が高いことが報告されている。認知症の発症率も高く、「睡眠状態が悪化している高齢者だと、睡眠状態がいい人に比べ5倍以上発症しやすくなるという報告がある」(白川常務理事)という。


○体温維持して免疫力低下防止


 日本睡眠医学協会(金沢市)の大谷憲理事長は、体を温めながら眠る「あたため睡眠」が眠りの質を良くすると話す。この「あたため睡眠」は大谷理事長が提唱しているもので、「体温を上げる睡眠が長寿の秘訣」という。眠っているとき、人間の体温は1~1・5度低下するため身体の免疫力が落ち、病気にかかりやすい状態になるという。「体温が1度下がるごとに免疫力は35%下がり、基礎代謝能力も15~25%下がります」と話す。太陽の光を積極的に浴びたり、夕方に運動したりすることで体温を下げることなく眠れるため、免疫力低下を防止できるという。
 このように、睡眠は身体、心に非常に関係してくる。次ページから、睡眠障害や睡眠環境の整え方を紹介する。

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