多少の無理が元気の秘密  ”はつらつシニア”のその後

2017年03月16日

 仕事だけでなく、趣味活動などを通し生涯現役を貫く人が増えている。そんなシニアに焦点を当ててきたのが本紙の人気コーナー「はつらつシニア」だ。2014年9月の創刊号から27名を取り上げて来た。今月は、「はつらつシニア」の総集編として、人生をより楽しく元気に過ごすためのポイントを、今まで紙面に登場してきた人たちから学んでみたい。


最高100歳 生涯現役貫く27人の人生訓


 紙面に登場した27名のうち、男性は17名で女性は10名。最年少は、定年後に「ちーずどっぐ屋さん」を始めた秋本俊之さんの60歳(当時・以下同)で、最年長は東京の老舗喫茶店「珈琲だけの店 カフェ・ド・ランブル」のオーナー・関口一郎さんの100歳。職業はDJ、漫画家、マジシャン、寿司職人、高齢者住宅運営者、断捨離ブームの生みの親など、経営者から職人、文化人、ボランティア活動者など多岐に渡っている。
 現在の職業・活動に行きつくまでの経緯は十人十色。前出した老舗喫茶店オーナーの関口さんは15歳ごろに飲んだコーヒーの魅力にとりつかれ、その後店を開いて70年になる。チーズドッグ店のオーナーの秋本さんは家族との思い出の味を再現しようと、定年後に開業した。この2人だけ見ても、自分の夢を叶えるためにいつ活動を始めるかに、遅すぎることはない。

 

体力作りは元より”探求心”が要に


 それでは、紙面に登場してきたシニアたちは、実際にはどのようにして生涯現役でいられているのだろうか。主に4つの秘訣が見えてきた。


元気の秘訣①【体力作り】


 病気にならないために健康づくり・体力づくりをすることは、誰しもの秘訣と言えるのではないだろうか。NHKのテレビ・ラジオ放送の体操指導者を29年間務めた日本体操研究所所長の長野信一さんは、やはり体力づくりを1番にあげる。長野さんは毎朝のラジオ体操に加え、普段からエレベーターやエスカレーターを使うことなく、運動に励んでいる。
 東京おもちゃ美術館の学芸員である坂井恒雄さんも、決まった曜日に必ず出勤できるよう、体力づくりに余念がない。週4日はフィットネスクラブに通い、そのうち2日は3000メートル水泳を欠かさないという。フィットネスに通った回数も記録しており、これがモチベーションを上げている要因の一つになってい


元気の秘訣②【探求心】


 一方で、もうすぐ100歳を迎える家事評論家でエッセイストの吉沢久子さんは、健康面ではそんなに気を使ってはいないという。常に気を使っているのは、社会との繋がり。新聞は3紙読み、毎日寝る前にテレビのニュース番組を見る。「新聞は見出しだけでも目を通すようにしています」と語る。また、わからない言葉があるとすぐに辞書をひく探求心が「幸せに暮らすことの秘訣」だそうだ。

 ひとりの時間も必要という。「夫を亡くした私に、『ひとりで寂しいでしょう』と言う人がいますが、ひとりの時間は次の行動のための気力、体力を蓄えられる時間で、私にとっては必要な時間です」という。
 「60代はまだ十分に元気。これからの自分自身の生き方を考える時期だと今にして思います。老年期を迎える以前の努力と勉強の成果が、後年の生活を充実させるためのきっかけを与えてくれます」
 「珈琲だけの店 カフェ・ド・ランブル」の関口さんも、吉沢さんと同じように、何か気になることややりたいことがあれば、とことん追求する探求心が旺盛だ。興味をひくものがあったり、わからないことがあったりすればわかるまで追求し、一つずつストレスを解消していく。これこそが「長生きの秘訣」という。


”好奇心の強さ”共通 新聞をスクラップも


 また、一般社団法人日本元気シニア総研を立ち上げた富田眞司さんは、アイデアを考えることが人生の楽しみという。そんな富田さんは情報収集を欠かさず、気になるニュースがあればいつでも見返せるようにパソコンにまとめて保存している。
 かつて富田さんの部屋には新聞のスクラップノートが400冊並んでいたという。「明日より今日、今日より明後日という気持ちで日々生きていけば、常に自分自身を磨き続けられます」と語る。
 囲碁の業界紙などで1コマ漫画を30年以上描き続けている鮎沢まことさんは、作品の題材となる情報収集を欠かさない。戦場カメラマンの石川文洋さんは、「知らない世界を知りたい」という好奇心が強く、全国縦断の旅に出かけただけでなく、その探求心が自身の職業にも繋がった。
 このように、活き活きと日々生活している人は知的好奇心が高く、常に新聞やテレビ、周囲の会話に気を向け、情報収集している姿勢がうかがえる。


元気の秘訣③【老いを魅力に感じること】


 「加齢はメリット」と話す人もいる。50代でDJになったDJ KUMEさんは、「DJの役割は、その場その場に合ったふさわしい音世界、空気を醸し出すこと。それを考えると、楽曲の引き出しは多ければ多いほど良いわけで、加齢はメリットでこそあれ、決してデメリットではありません」という。
 都内の高齢者施設で働く島原みどりさんは100歳の利用者と話すこともあり、「年齢を重ねたからこそできる会話がある」という。「年齢を重ねた職員の場合は、『近い世代だからこそできる会話」があり、戦後すぐの日本の話や、テレビで見ていた芸能人の話などで盛り上がれます」


元気の秘訣④【人との交流】


 元気でいられるためには、社会参加も必要だろう。マジシャンの古川活子さんは、「かつて死にたいと思っていた自分を変えたのは、人との交流でした。健康になるためにはまず外に出ていろいろな人に会わなくてはいけません」と話す。
 古川さんを変えたのは、現在の相方である齋藤和文さん。齋藤さんは「1年だけ僕に命を預けてほしい」と、どん底だった古川さんを救うために、様々ことを伝えた。


積極的に人と交流を 社会貢献で意欲向上も


気分を変えるためには年相応のファッションではなく、少し派手なくらいがちょうどいいこと。日頃からいいものを見て聞いて五感を刺激させるために、テレビでは自然や旅行番組を見ること。話し方も語尾をあげ、なんでもポジティブに表現すること。
 齋藤さんの言うことを素直に実行した結果、現在では心身ともに回復し、更にはマジシャンとなり齋藤さんと全国を講演活動で飛び回るようになった。潰瘍性大腸炎やぜんそくなど複数の病気を患っていたが、全て完治し、今では薬も服用していないという。


落語に学びに大忙しの日々


 ボランティア落語家の湯川博士さんは、実母を介護した後、現在では趣味で続けてきた落語を老人ホームで披露したり、公民館で話術を学んだりと大忙しだ。更には、独居高齢者宅を訪問し、洗濯や食器洗いなどの日常生活をサポートする有償ボランティアを行ったりもする。
 定年退職した3日後に渡米し、オレゴン州の大学で老年学を学んだ星園子さんは、「高齢者は最期まで主体的に誰かとかかわり続ける存在であるべき」という。
 また、千葉県で地域住民の学びの場「ドラムサロン」を主宰する大舘勝利さんは、「幸せは社会貢献なしには
語れない」と自身の人生を振り返る。  
 はつらつシニアたちは様々なことに興味を持ち、今でも多くの夢を持っている。夢を持つことも、人をはつら
つとさせる要素になる。

株式会社高齢者住宅新聞社
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